top of page

タテマエのテマエ



ブログリレー、先日の四條さんにつづき、

事務局の野田さんに書いていただきました!


 



タテマエ主宰の野田満です。

色んな地域で、

地域の調査をしたり、講演や出前講義をしたり、

イベントやワークショップを企画したり、研究論文を執筆したりしています。

つまるところ、「地域づくりのお手伝い」が、僕のナリワイです。

今回は「タテマエのテマエ」と題して、

野田個人の地域づくりに対する思いや、タテマエのスタンス等について、

ごくごくシンプルではありますが、

かいつまんで書いてみようと思います。

タテマエをより深く知って頂く「手前」の、はじめのヒントになれば幸いです。





実践と理論を積み重ねる

地域づくりにおいて重要なことは、実践と理論の融合だと考えています。

実践だけでは、あらゆるノウハウが属人的要素(個人の経験など)に集約されてしまい、

人材の替えが効かなくなることで、地域づくりの体制に安定感がなくなります。

無意味な試行錯誤も増えてしまうかもしれません。

一方で理論だけでは、その地域特有の極めてローカルな事象や、

偶発的な未知の物事に対して、瞬発的に対応しきれません。

実践から理論を生み出し、

その理論をもってまた実践に臨み、新たな理論を紡ぐ、といったように、

両者のキャッチボールをなるべく頻繁に交わし、

ミルフィーユのように幾重にも重ね続けていく先に、地域の将来を見据えるイメージです。

そしてその成果は、

限られたコミュニティ内の集合知(いわゆる「企業秘密」)に留めておくのではなく、

積極的に社会に発信し、他の地域にも役立てていきたいと思っています。

現在タテマエは、活動報告書ほか色々なアウトプットを鋭意制作中です。

いつか皆様にもお見せしたいと思います。




ロマンとマネーを混ぜ合わせる

もうひとつ大事なことは、ロマンとマネーの融合です。

理想と現実、と言い換えても良いかもしれません。

ロマンとは、夢や冒険心、或いは空想のような意味です。

マネーは文字通りお金、経済のことですね。

世の中にはロマンで動く物事と、マネーで動く物事があります。

人にも同じことが言えるかもしれません。

どちらかに偏ると危険なのは、実践/理論と同様ですね。

地域づくりには、有象無象の望ましい未来に思いを馳せる絵空事が不可欠です。

しかし、取り組みを進めていくためには、お金は必要です。

勘違いしてはいけないのは、

ロマンとマネーの関係は、実践/理論のようなミルフィーユでは解けません。

冒頭で「混ぜ合わせる」と表現したように、

そんな派閥さえなくなるような、相互理解が必要です。

例えば、

ロマンで動く人には、マネーの簡潔さと重要さを理解してもらう。

マネーで動く人には、ロマンの理念と哲学を理解してもらう。

理想と現実、両睨みで考える。

構想のネジを巻きながら、資金調達もサボらない。

そうやって初めて、壮大かつ現実味のある地域づくりのビジョンが描けるのだと思います。

衰退するムラを“地域系”で支える

ひと昔前、地域づくりに関わる人には、

「土の人」と「風の人」の二種類がある、といわれていました。

土のようにどっしり地元に構えて地域を担う人間と、

風のように色んな地域を巡りながら刺激を与える人間のことですね。

聞いたことがある方もいるかと思います。

しかし今の時代の地域づくりは、

もはや土と風という二項対立では論じることができない、というのが僕の考えです。

そこで、はるか成層圏外に視座を移して、

今後の地域づくりの担い手像を考えてみましょう。



この「天体モデル」、

とある雑誌に寄せた論考注)から引っ張り出してきたのですが、

「土と風」をベースに、地域づくりの担い手を天体になぞらえたものです。

ここで注目すべきは、風でも土でもない「惑星」、

つまり「地域外にいながらも、地域と定期的・継続的に関わる人間」です。

最近は関係人口とも呼ばれていますね。

太陽という恒星と、地球を含む8つの惑星、

更に無数の彗星を加えて「太陽系」と呼んでいるように、

これからは地域外の惑星と彗星を合わせた「地域系」で、

力を合わせて地域づくりを進めていくことが必要です。

高齢化、人口減少の著しい限界集落は尚更です。

地域の土となるか/風になるか、という二択ではなく、

風と土の間に、地域に関わる無限のグラデーションが広がっています。

タテマエも、そのひとつです。


おわりに

最後まで読んで頂いて、ありがとうございます。

今から3年前の2017年、

衰退する地域の「惑星」になるべく、

僕はタテマエというユニットをつくりました。

共に地域づくりに取り組む同志として、地元大学生を中心にメンバーを募り、

2018年に1期生を、2019年に2期生を迎え、現在に至っています。

学生たちと一緒に、やるべきこともやりたいことも、まだまだ沢山あります。

あなたが大学生の方なら、是非タテマエに飛び込んで来て下さい。

共に地域づくりの理論と実践を積み上げていきましょう。

あなたが地域づくりに関わる方なら、是非情報やノウハウの交換をさせて下さい。

気軽にアクセス頂けましたら幸いです。

どちらでもない方も、これを機にほんの少し、

地域づくりに関心を持って頂けましたら幸いです。

あなたの住んでいるまちにも、陰ながら地域づくりに取り組む方々がいるはずです。

注)野田満:人的支援の多面的意義と、協働の本質的意義(タマリスクVol.123、2015.03)より引用。

0件のコメント
TATEMAE
bottom of page